Q-17 カンチレバー架設において施工管理上、特に注意すべき点にはどのようなことがありますか。
Answer
- 上げ越し管理
型枠の上げ越し管理は、打ち込んだコンクリート、プレストレス、その他の荷重によって生じる支保工の変形、橋脚および桁の変形等を考慮して、コンクリートのクリープおよび乾燥収縮が終了した後に、構造物を所定の高さにするために必要な管理です。これまでの実績から、計算された上げ越し量をもとに十分な施工管理を行えば、構造物を所定の高さにすることができることが確認されています。
- 緊張管理
カンチレバー架設では、架設中および完成後の橋体応力を許容値に収めるため、橋体の一施工区分を製作するごとに所定の緊張力を与える必要があります。このため、鋼材の緊張時にはプレストレスト・コンクリート技士または、同等以上の技術力を有する技術者が立会い、緊張管理(ジャッキの圧力と鋼材の伸び量を管理)を行う必要があります。
- 養生
プレストレスト・コンクリート部材は、一般に部材断面が比較的薄く、温度変化等による影響を受けやすいので、コンクリートの打込み終了後直ぐに適正な養生をする必要があります。
一方、柱頭部は部材厚も大きく、マスコンクリートとして温度応力の影響を受けます。セメント材料の選択、コンクリート配合、打設方法、養生などに注意する必要があります。
また、寒中コンクリートの養生では、給熱養生に加えて移動作業車に対する仮囲い等の対策も必要になります(近年は採光パネル等も用いられることが増えています)。
特に気象条件が厳しい場合には、養生期間を長く確保するか、サイクル工程への影響を考慮して単位セメント量を増加させる等の対策が必要となる場合もあります。
- 打継ぎ
場所打カンチレバー施工では、旧コンクリートと新コンクリートとの打継目ができます。打継目付近はコンクリートの温度・乾燥収縮の影響を受け、ひびわれが発生しやすい条件にあります。
旧コンクリート表面の処理、新コンクリートの補強筋、コンクリートの打込み、養生などに十分注意が必要となります。
- 防護設備
移動作業車には、落下物防護のために防護設備を設ける必要があります。これにより、橋梁下の交通を妨げることなくカンチレバー架設ができます。
- グラウト工
PC構造物の耐久性を確保する上で、グラウト工は極めて重要な工程です。カンチレバー施工でもグラウト充填はすみやかに行う必要がありますが、日平均気温が4℃以下となる寒中期はグラウトが凍結する恐れがあるため、グラウト注入工は行わないことが標準的な考え方です。
やむを得ず寒中等の特殊な条件下で施工を行う場合は、「PCグラウト&プレグラウトPC鋼材施工マニュアル(2013改訂版)」等を参照して、発注者と協議して行うなどの慎重な対策が必要になります。
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